IMSはDr.Chan Gunnが発表した鍼を使った治療法です。
日本では東京慈恵会医科大学で行われていて、テレビなどメディアでときどき紹介されています。

筋筋膜性疼痛とトリガーポイント

筋肉が異常緊張(筋スパズム)して神経障害(ニューロパシー)が起こり、痛みが出る症状のことを、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)という。
筋スパズムを起こし、ニューロパシーの原因となっている部位をトリガーポイントという。

IMSはトリガーポイント療法

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)を改善するために、トリガーポイントを刺激する方法がトリガーポイント療法です。
IMSはトリガーポイント療法の一つですが、鍼を筋肉内に刺入する点で、手技療法とは一線を画します。

マッサージや整体など筋肉を外から刺激する方法で改善できるなら、わざわざ鍼をする必要はありません。
筋スパズムが強いと、外からの刺激では緩まないので、筋肉を内から刺激する方法が必要になります。

筋肉を外から刺激するのと内から刺激するの違いを、私はコブ結びに例えて説明しています。
緩いコブなら手で解くことができるが、硬いコブを手だけで解くのは難しい。
きつい結び目とゆるい結び目

Dr.Travellによって提唱されたトリガーポイント療法は注射を使った方法でした。
Dr.Gunnは注射で薬剤を注入しなくても、針(鍼)を刺すだけでトリガーポイントは改善できるとし、注射(針)の代わりに東洋医学で用いられている鍼を使った治療法を提唱しました。
それが、筋肉内刺激法(Intra Muscular Stimulation:IMS)
「短縮した筋肉(筋スパズム)の解除を目的として、薬剤を注入しないで針だけを用いる方法は、筋肉内刺激法と呼ばれている」
(筋筋膜痛の治療 ハリ治療の西洋医学的手法 Dr.Gunn著より)

従来の鍼灸とIMSの違い

古来より行われている鍼治療は、東洋医学(伝統中医学)を基に、ツボに鍼をして気血の流れを整えるのを目的としている。
IMSは西洋医学(現代医学)を基に、筋肉(トリガーポイント)に鍼をして、筋スパズムとニューロパシーの改善を目的としている。
トリガーポイントに鍼が当たると、「ひびき」という痛みが再現されたような感覚が生じることがある。
ひびきは中医学では「得気」といい鍼が効いている証とされる。

決して、従来の鍼灸よりもIMSが優れているということではありませんが、従来の鍼灸で効果がなかったなら、IMSのような違った方法を試してみると効果があるかもしれません。

まとめ

1)表層筋で筋スパズムが軽度なら、マッサージで十分ほぐれる。
2)筋スパズムが重度の場合、注射や鍼で筋肉を内から刺激する方法が有効。
3)筋スパズムは注射で薬剤を注入しなくても、鍼を刺すだけでも緩和する。
4)深層筋のスパズムには、長い鍼を使う方法が有効。