太っている人が、腰痛や股関節痛や膝痛で病院や治療院に行くと
「体重を落としたほうがいいですね」と言われます。
必要以上に体重が重いと関節に掛かる負担が大きいので、関節の負担を減らすには体重も減らす必要があります。
肥満は関節の痛みだけでなく、糖尿病、高脂血症、高血圧、痛風の原因になり、心筋梗塞や脳卒中に繋がります。

関節の痛みの原因で最近注目されているのが「アディポカイン」という物質。
アディポカインは脂肪で作られて、慢性的な痛みの原因になります。

菌にも善玉菌と悪玉菌、コレステロールにも善玉コレステロールと悪玉コレステロールがあるように、アディポカインにも善玉と悪玉があります。
善玉アディポカインは、動脈硬化や糖尿病を予防するのに対し、悪玉アディポカインは、動脈硬化や糖尿病のリスクを高める。
善玉も悪玉も脂肪で作られるのだけど、内臓脂肪が増えると、善玉アディポカインが減って、悪玉アディポカインが増えます。
悪玉アディポカインは動脈硬化や糖尿病のリスクを高めるだけでなく、炎症(痛み)を起こす原因にもなります。
内臓脂肪で作られた悪玉アディポカインが、血液にのって股関節や膝など痛みのある部位に届くと、炎症を引き起こします。

太っていなくても慢性的な痛みで苦しんでいる人は多いので、体重(脂肪)が減れば痛みがなくなるとは限りませんが、太っていると余分な体重の負荷に加えて、アディポカインによる炎症が加わって痛みが出るので、スリムな人よりも症状が辛くなるのは確かです。

ウォーキングのような適度な運動は、悪玉アディポカインを減らすのに役立ちますが、太っていると運動が億劫になるし関節に負荷がかかるので、痛みがある場合運動がマイナスに働くこともあります。
なので、慢性痛の改善にも生活習慣病の予防にもまずは食事に気をつけることが大事です。