フォーカルジストニアはリハビリ初期の段階では、楽器の演奏から離れたほうが良いと考えています。
その理由を説明するのに、最近は九九で例えています。

軽症ならところどころ九九がズレて間違った状態。
2×1=2、2×2=5、2×3=6、2×4=9、2×5=10・・・
3×1=3、3×2=6、3×3=8、3×4=11、3×5=15・・・



9×1=9、9×2=17、9×3=28、9×4=36、9×5=45・・・

重症になるとズレが大きくなり間違う箇所も増える。
2×1=2、2×2=5、2×3=7、2×4=9、2×5=10・・・
3×1=3、3×2=7、3×3=8、3×4=11、3×5=16・・・



9×1=9、9×2=17、9×3=28、9×4=38、9×5=47・・・

九九が間違った状態で、頑張ってたくさん計算問題をやっても正解は出ません。
むしろ計算問題をやるほど間違いがひどくなり、落ち込むだけです。
最初にやるべき事は、九九を正しく覚え直すことです。
ある程度覚え直したところで計算問題をやると、ときどき間違って記憶された九九が顔を出して邪魔をしますが、落ち着いて計算すれば正解できます。
正しい九九が自然に出るようになり、間違った九九が顔を出さなくなれば、素早く計算できるようになります。
それには根気よく時間を掛けて修正しなければなりません。

フォーカルジストニアの状態で頑張って練習しても、上手く弾けないので落ち込みます。
フォーカルジストニアの原因の一つが使い過ぎなので、練習するほど悪化します。
まずはフォーカルジストニアの原因を修正することです。
フォーカルジストニア回復初期は、なるべく楽器は弾かないほうがよいので、音楽家にとっては相当辛い時期を過ごすことになりますが、まずは演奏を邪魔している原因を取り除くことが回復への道です。