大半の椎間板ヘルニアは、手術しなくても自然に治るといわれていますが、実際には手術をする人は少なくない。
手術をして治ればよいですが、手術したのに(思ったほど)痛みが減らないとか、椎間板ヘルニアが再発して再手術ということもあります。
手術は最終手段として、できれば手術しないで治る方法を検討したほうがよいです。
※歩けないような激しい痛みや排尿障害、手足の感覚が無いなど重症の場合を除く。
一番良いのは手術しないで治ること
最近の手術はどんどん進化していて、低侵襲(身体の負担が少ない)になっています。
しかしどんなに低侵襲であっても手術は不可逆であり、一度手術すれば元の身体には戻りません。
虫歯が悪化して抜歯すれば、抜いた歯は二度と戻らない。
手術したけど良くならなかったからといって、手術をする前の状態に戻すことはできないということです。
そのためには(手術をしなくても)治る可能性の高い治療方法を選択する必要があります。
椎間板ヘルニアを手術しないで治すには
1)椎間板の圧迫を取り除く。
2)大食細胞(マクロファージ)や破骨細胞が正常に働くようにする。
ことです。
免疫細胞の大食細胞(マクロファージ)や破骨細胞はヘルニアを食べてくれる細胞なので、この細胞たちを最大限活用したいところです。
椎間板ヘルニアを治すには椎間板を圧迫しない
椎間板の厚さは頚椎で3~4mm、胸椎で5~6mm、腰椎は9~10mmくらい。
椎間板は起きている間ずっと重力と体重の負荷が掛かって圧迫されています。
お勧めは、ときどき仰向けで休むこと。
仰向けになると、椎間板が重力と体重の圧迫から解放されます。
仰向けストレッチ
簡単でお勧めですが、働いていると気軽に仰向けになれないのが難点です。
椎間板ヘルニアを治すには適度に動く
デスクワークでも立ち仕事でも、ずっと同じ姿勢でいると椎間板に圧力が掛かったままです。
動かすと痛みが増す場合は除いて、身体を適度に動かすと血液が循環します。
ストレッチをして筋肉を伸ばすのもよいです。
東京鍼怙灸の椎間板ヘルニアの治療
椎間板ヘルニアが良くなるかどうかは、正直治療をしてみないと分かりませんが、改善する人は3~5回くらいで症状が変化します。
5回治療しても痛みがあまり変わらない場合は、それ以降治療を勧めることはしません。
椎間板ヘルニアの痛みが耐えられないほどでなければ、治療を続けて良くなった方もいますが、治療を続けるかやめるかは患者さんの選択にお任せします。
椎間板ヘルニアの原因
椎間板は、骨と骨の間にあってクッションの役目をしています。
椎間板が圧迫されてはみ出るとヘルニアになります。
(※ヘルニアとは、本来あるべき部位からはみ出した状態のこと)
中腰での作業や重い物を持つなど、腰に負担がかかる仕事をしている人は椎間板ヘルニアになりやすいですが、意外にもデスクワークでずっと座っている人にもよくみられる疾患です。
実は、立っているよりも座っているほうが腰の負担は大きく、デスクワークは思っている以上に腰に負担が掛かっています。
デスクワークは健康に悪い
椎間板には血管がなく、血液によって栄養補給ができないので、椎間板はポンプのように伸び縮みして栄養を循環させています。
デスクワークのように長時間同じ姿勢でいると、椎間板が動かないので栄養が循環できず、椎間板の弾力が失われます。
首こり肩こりや腰痛がある場合は要注意
椎間板ヘルニアになる人は、ヘルニアになる前から首こり肩こりや腰痛があります。
※自覚症状がなくいきなり椎間板ヘルニアになる人もいます。
首や腰の筋肉が硬くなると、動きが鈍くなり血液の循環が悪くなり椎間板への栄養が減ります。
血流が悪くなると自然治癒力の働きも悪くなるので、ダメージの回復が遅くなります。
椎間板ヘルニアについて
椎間板ヘルニアの患者数は、日本ではおよそ100万人と推定。
椎間板ヘルニアは10代~40代の比較的若い世代に多い。
遺伝と喫煙が関係するが、スポーツとの因果関係はない。
椎間板ヘルニアの発症は腰(腰椎椎間板ヘルニア)が多く、首(頚椎椎間板ヘルニア)にも生じる。
腰椎は下になるほど圧が掛かるので、4番目ー5番目ー仙骨の間の椎間板に発症することが多く、この位置に坐骨神経があるために坐骨神経痛を伴う。
椎間板ヘルニア 膨隆型と脱出型
1)髄核(下図の黒い部分)が後縦靭帯を破らない膨隆型
2)髄核が後縦靭帯を破る脱出型
1)の膨隆型は痛みが強く、自然に治りにくい。
2)の脱出型は一見ひどそうだが、免疫細胞が働き自然に消えやすい。
とされています。
椎間板ヘルニア 神経根型と馬尾型
ヘルニアが圧迫する部位の違いで
1)神経根型:左右どちらかに痛みや痺れが出る。
2)馬尾型:重症度が高く、手術が検討される。
の2タイプがあり、双方ともヘルニアの神経を圧迫する強さで痛みや痺れの強さも変わる。
馬尾型の判断基準
1)しびれはあるが痛みはない
2)痺れや痛みが脚の両側にある
3)両足の裏側に痺れがある
4)お尻の周りに痺れが出る
5)お尻の周りにほてりが出る
6)歩くと尿が出そうになる
2つ以上当てはまると馬尾症状の可能性があり、進行すると尿もれや頻尿歩行障害将来的に寝たきりになる危険があるので、早期に病院受診するのが望ましい(NHKきょうの健康を参考)。
椎間板ヘルニア 注射で治す
2018年8月に「ヘルニコア」(一般名コンドリアーゼ)という薬を直接椎間板に注射して、はみ出た椎間板ヘルニアを縮小させる新薬が発売になりました。
ただし適応する椎間板ヘルニアのタイプが限られることと、1度使ったら2度は使えない、治療を受けた人が少ないので本当の効果はまだ未知数など問題がないわけではありませんが、手術と比べれば圧倒的にリスクは少ないと思われるので、自分の椎間板ヘルニアが適応するなら試してみるのもいいかもしれません。
椎間板ヘルニアの手術をしてもよくならなかったJFK
アメリカの故ケネディ大統領は腰痛で苦しんでいたそうです。
椎間板ヘルニアの手術や固定術を受けたが、腰痛はむしろ悪化。
(後年これらの手術は不必要だったと結論された)
後にDr.Travellのトリガーポイント注射の治療で楽になったという。
このような事例は、ケネディ大統領に限った話ではありません。